深く息をして、なんとか少し気を落ち着ける。
しかし先ほど広げたアルバムが、まるで呼んだようだった。
沙也が上げた視線の先には、写真立てがあった。
どくり、と心臓が跳ねる。
写真立て。
でも写真は見えない。
……伏せてしまったから。
写真立ては、写真を見せることなく、悲しげに倒れている。
大切な想い出を、こんなふうに扱うしかないことが、急に悲しくなってきた。
ここ数日、だいぶ落ち着いていた気持ちは簡単に波打って、沙也の目から、ぽろっと涙をこぼさせていた。
涙になるのはもう一週間ぶりくらいだったかもしれない、と止まらないそれを拭いながら、沙也は自嘲するように頭に浮かべた。
あの夜のこと。
いや、あの夜が起こる原因になったことを。
しかし先ほど広げたアルバムが、まるで呼んだようだった。
沙也が上げた視線の先には、写真立てがあった。
どくり、と心臓が跳ねる。
写真立て。
でも写真は見えない。
……伏せてしまったから。
写真立ては、写真を見せることなく、悲しげに倒れている。
大切な想い出を、こんなふうに扱うしかないことが、急に悲しくなってきた。
ここ数日、だいぶ落ち着いていた気持ちは簡単に波打って、沙也の目から、ぽろっと涙をこぼさせていた。
涙になるのはもう一週間ぶりくらいだったかもしれない、と止まらないそれを拭いながら、沙也は自嘲するように頭に浮かべた。
あの夜のこと。
いや、あの夜が起こる原因になったことを。



