幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 しばらく沈黙が落ちた。

 明依は色々考えているだろうし、沙也から説明することはもうない。

 だから沙也は膝の上の洋斗に手を伸ばして、軽く撫でた。

 やわらかな黒髪。

 ……清登譲りの色と髪質だ。

「私は……月並みだけど、沙也がしたいと思うことに従うのがいいと思う」

 たっぷり三分は黙って考えていた様子の明依は、口を開いた。

 その口から出た提案と意見は、沙也がなんとなく想像していたものだった。

 そう言ってほしかった気持ちはある。

 これまた甘えた思考なのかもしれないけれど、誰かに背中を押してもらいたい気持ちはあったから。

 でも、明依が言ったのはそれだけではなかった。

「言うでしょ。『やらなかった後悔より、やった後悔』って……こんな重大なことに適用していいことかはわからないけど、沙也の気持ちが『やりたい』に傾いてるなら、私はそれを応援したいかな」

 続けて、明依は笑みを浮かべた。

 努力して笑みの形に作った表情だったけれど、取り繕ったり、誤魔化したりする意味の笑みではない。

 そのくらいすぐにわかった。