幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 でも、それは本当に正しいことなのだろうか?

 しても良いことなのだろうか?

 沙也は鍋の中身を軽くかき混ぜながら、悶々としてしまった。

 すぐに答えなんてわからないと思う。

 話を聞かせてくれた目暮だって、一日二日で答えが出るものではないとわかっているだろう。

 だから逆を言えば、多少の時間をかけて、じっくり考えるべきなのだ。

 大切なことなのだから、願望や衝動で決めてはいけない。

 せめて、今月中くらいは。

 沙也は最後に野菜の葉物、長く煮ないものを鍋に入れながら、思った。

 今月、まだ半月はある。

 そのくらい時間をかけて、考えてみよう。

 色々考えて、できるならひとの意見も聞いてみて、考えよう。

 今のところはそう決めて、沙也はそっと鍋の上に蓋を置いた。

 あとは少し煮込むだけ。

 美味しいご飯を食べよう、と思う。

 落ち着くにはやはり、あたたかくて美味しいものでお腹を膨らませるのが一番。

 お腹が減っているときと疲れているときに考え事をするものじゃないよ、と昔、母に言われたことがある。

 だから今はその昔の母に従うことにして、沙也は次のおかず作りに取り掛かった。