「……そう。あまり夜更しするんじゃないわよ」
だが流石に様子が少々おかしかったか。母は怪訝な顔になった。
それでも特になにも聞かず、小さな子どもに注意するようなことを口に出した。
「わかってる!」
普段、こんなことを言われたら「子どもじゃないのに」と膨れるか呆れるかするのに、今はそんな言葉も態度も出てこない。
その言葉で終わりになった。つっかけていたスリッパの音を、ぱたぱた立てながら、沙也は階段をのぼって、自室へ入った。もう洗濯物のことなど頭になかった。
子どもの頃から使っている自室に入って、ばたん、とやや乱暴にドアを閉めて、沙也はやっと、ふーっと息をついた。
自室は六畳ほど。ピンクのカーテンをかけた部屋の端にはベッドがあり、カーペットの床にローテーブルと座椅子を置いている。居心地良いように作った部屋だ。
でも今は胸が苦しかった。まるで溺れたように、息苦しい。
一歩間違えれば過呼吸になってしまいそうなので、必死で心を落ち着かせようとする。これ以上、様子がおかしいと、母たちに知られるわけにはいかないのだ。
だが流石に様子が少々おかしかったか。母は怪訝な顔になった。
それでも特になにも聞かず、小さな子どもに注意するようなことを口に出した。
「わかってる!」
普段、こんなことを言われたら「子どもじゃないのに」と膨れるか呆れるかするのに、今はそんな言葉も態度も出てこない。
その言葉で終わりになった。つっかけていたスリッパの音を、ぱたぱた立てながら、沙也は階段をのぼって、自室へ入った。もう洗濯物のことなど頭になかった。
子どもの頃から使っている自室に入って、ばたん、とやや乱暴にドアを閉めて、沙也はやっと、ふーっと息をついた。
自室は六畳ほど。ピンクのカーテンをかけた部屋の端にはベッドがあり、カーペットの床にローテーブルと座椅子を置いている。居心地良いように作った部屋だ。
でも今は胸が苦しかった。まるで溺れたように、息苦しい。
一歩間違えれば過呼吸になってしまいそうなので、必死で心を落ち着かせようとする。これ以上、様子がおかしいと、母たちに知られるわけにはいかないのだ。



