幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「沙也さん。沙也さんがどのようなご選択をされるかについては、とやかく申しません。沙也さんがお決めになることです」

 ふと、目暮の声音が変わった。

 きっとこれで話はそろそろおしまいなのだろう、と沙也はぼんやり感じる。

 目暮はその、硬くも、どこか優しい声で続けた。

「ですが、洋斗くんを守ってあげてほしいのです。不測の事態が起こってしまう前に……そのほうがきっと、衝撃は少ないでしょうから」

 目暮の視線も洋斗に向く。

 まだすやすやと穏やかな様子の洋斗を、沙也もつられるように見やった。

 どんな事態になるだとか、それによってどんなことが引き起こされるだとか……今はまだ具体的にわからないけれど、目暮の言う通りだった。

 すなわち、取り返しのつかない事態が起こってしまう前に、手を打たないといけない。

 それは確かだった。

「方法については沙也さんがお考えになることですが、今、お邪魔いたしましたのは……沙也さんもご存知かと存じますが、ご入籍とお式がもう迫ってきているからでございます」

 沙也はぼんやりと、目暮を見た。

 彼の眉根にしわが寄っている。

 困った、と言いたいのか、それとも哀れだ、と思っているのか、それすらわからなかったけれど、ただ、気遣ってくれているのはわかった。

 だからくちびるをきゅっと引き結んで、見つめ返す。

「選択肢のひとつにあるのなら……。お早めに沙也さんとお話をしたほうが良いと思いました。それだけです」