幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「……そうなんですね。確かにそうかもしれません」

 優しい方だ、と胸の中にあたたかなものが広がるのを感じながら、沙也は頷いた。

「いきなりこのようなお話で驚かれてしまったと思いまして。申し訳ございません」

 さらに目暮は向かいで頭まで下げてくる。

 いくらか落ち着いていた沙也は、それを制した。

「いえ……、お気遣い、ありがとうございます」

 それで話は再開された。

「差し出がましいことなのですが、わたくしがここに来ました理由をお話してもよろしいでしょうか」

 気が引けている、という様子で切り出した目暮。

 今度はコーヒーを時折口にする余裕ができつつあった沙也は、ごくっと唾を飲んだけれど、頷いた。

「洋斗くんはシークレットベビー。ですが、一生隠しておくのは相当困難かと存じます」

 静かに目暮が話し出す。

「……はい。それはわかっています」

 沙也はコーヒーの水面に視線を落としてしまったが、小さく返事をした。