幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「でも沙也が参列できないのは残念ね。まだ結納なら、お身内だけなんでしょうけど」

 しかし次に母が言ったことに、沙也は、ごくっと喉を鳴らしていた。

 参列なんて、できるわけがない。

 沙也の立場からしても、彼との関係としても。

 ……沙也の気持ちとしても。

「それで普通じゃない?」

 やはり、なんとか言った。

 だけど今度、声は震えた。

 幸い、母はアルバムに見入っていて、気付かなかったようだ。

 いいおうちだからきっと格式あるホテルで行うんだろうとか、まだ若いのにとか、なんでもないことを話している。

 沙也は、そっと後ずさった。

 半歩ほどであったが、逃げるような心持ちになる。

「そうよね。沙也も一緒に見ない? 洗濯が終わったら、お茶を淹れようと思って……」

 なのに母ときたら。

 なにも知らないがゆえに残酷なことを口に出す。

「い、いい! 私、このあと見たいチャンネルがあるから!」

 沙也はもう、取り繕えずに声を上げていた。

 内容だけは無難なものになって、自分に安堵した。