幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「……え?」

 単純に聞き返すことしかできなかった。

 混乱より、頭の中が痺れるようになる。

 目暮はその沙也に、もうひとつ告げる。

 こちらのほうがわかりやすく、だが衝撃が強い事実と言葉だった。

「香々見 (きよし) 様のシークレットベビーという存在でした。まぁ、当時は『隠し子』という表現でしたけれど」

 絶句した。

 香々見 清。

 沙也は名前まで知らなかったけれど、この状況では推察できる。

 香々見家当主。

 清登の祖父。

 そのひとの……シークレットベビー。

 今度こそ、頭の中は痺れた。

 すぐにはなにも浮かんでこない。

 香々見家当主にシークレットベビーがいたというのもそうであるし、目の前の目暮がまさにそういう存在なのも、つまり清登の遠縁であるのも、だからこそ洋斗と同じ立場と言えるのも……。