幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 清登は知らないらしい。

 その点については、大いにほっとした沙也だった。

 とりあえず、決定的な露見はしていないということになる。

 だが、目暮が個人的にだとしても、真相を掴んでいることに変わりはない。

 あ、いや、では……。

 沙也はそこまで考えて、頭に浮かんだ疑問をそのまま口に出した。

「……では、どうして知りたいなどと? 目暮さんになにか関係がおありでしょうか?」

 それである。

 目暮はただの運転手。

 清登にとってどうなのかはわからないが、少なくとも沙也から見える限りは、そうだ。

 どうしてただの運転手が、清登の子、シークレットベビーについて知りたいと思うのだろうか。

 まずそこを知りたい、と思う。

 目暮のほうも、そう聞かれるのはやはり想定内という顔になる。

 ただ、少し表情が陰った気がする、と沙也が思ったときには、目暮の口から意外な言葉が出ていた。

「わたくしも、洋斗くんと同じ立場だからですよ」

 ぼそっと言われた言葉の意味が、沙也はわからなかった。