幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 それにはさらりと返された。

「根拠があるかといったら、ありません。ですが、清登様とのご関係や、時間の経過。それから沙也さんのあれ以来の動向……総合すると、そうなのではないか、と思った次第です」

 ごく、ともう一度、喉を鳴らしてしまう。

 隠しおおせるなんて不可能だったのかもしれない、と思った。

 きっと実際そうだった。

 なにか、探偵とか興信所とか、そういうところのひとなら易々と知れる程度の隠し方だったのだろうし、香々見家ほどの大きな家ならば、諜報の役をする使用人がいても不思議はない。

 だが、目の前の目暮は運転手と言った。

 実際、運転手として働いているのを沙也も見ている。

 だから、実は違う役に就いていて、それを役立てて調べてきた、というのは少し考えづらい。

 沙也が迷っているのは承知だろう。

 目暮は硬い目を少しだけ緩めて、ちょっと違う口調になって言った。

 フォローするような内容を。

「大丈夫です。清登様はこのことを知りません。お子様についても、今日、わたくしが沙也さんを訪ねてきていることも。わたくしが勝手に動いているまでです」