幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 その顔を見て、沙也はまた少し気持ちが変わるのを感じた。

 今、ここでこのスーツの彼を突っぱねる方法もある。

 だが、なにか大切な用事なのだ。

 諦めてもらえるかは怪しいものだ。

 それに洋斗とベビーカーがあるのだから、走って逃げたりなどもできるはずがない。

 つまり……少しだけ話に付き合って、正当に帰ってもらうのが一番理想的なのではないか。

 そう思ったし、洋斗のことについて、もうひとつ理由もある。

 そろそろ、父の車から降りて一時間は過ぎただろう。

 抱っことベビーカーがほとんどだったけれど、それでもまだ一歳半がやっとの子だ。

 疲れないはずがない。

 父の迎えが来るまで、あと一時間前後というところだ。

 だから最初から、一通り海を見たら、お店にでも入って休憩しようと思っていた。

 海辺にはいくつかお店があって、そこには子ども連れでもそう迷惑にならないだろう、ファミレスもある。

 そこで三十分ほど居ようかと思っていたのだ。

 だから、その時間を少し渡すと思えば。