幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 沙也はやっと、はっとし、また反省した。

 唐突な状況でいっぱいいっぱいになって、洋斗に注視するのをおろそかにしていた。

 ベビーカーで良かった、と心から思った。

 少なくとも、洋斗が勝手にどこかへ行ってしまったり、危険な目に遭ったりするのは避けられたのだから。

 いや、それより今は洋斗の要求だ。

「ちょっとすみません」

 黒スーツの彼に形だけだが断り、ベビーカーに向き直った。

 彼は穏やかに「いいえ」と答える。

 荷物を探り、沙也は水の入ったペットボトルを取り出した。

 飲み口にストローセットを装着する。

 そうしてからしゃがみ、洋斗の手にそっと持たせた。

「ゆっくりね」

 洋斗は喉が渇いていたようで、んく、んく、とストローから水を飲んでいく。