幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 沙也が名刺を手に固まったのも、その理由もわかるだろう。

 彼は困ったような表情になった。

「訝しく思われてしまうのはわかります。ですが、少しあなたとお話をしたいのです。少しで良いので、お時間をいただけないでしょうか?」

 そう言われる。

 内容は沙也にとってすぐに頷けないものであったが、ただ、彼の声と態度には心がわずかに揺らいでしまった。

 どうやら真剣な用事で来たらしいのだ。

 スーツまで着て、名刺も出して、身分を示してきたのは、沙也が彼のそもそもの立場を疑わないためだろう。

 そのくらいにはきちんとした方のよう。

 沙也は迷った。

 しかしそこで別の声がした。

「まーまぁ。おみじゅぅ」

 ここまで静かにしていた洋斗の声だ。

 どうやら喉が渇いたらしい。