幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 沙也が警戒やら、不審やら、動揺やら……様々な感情を覚えるのは想像の範囲内、とばかりに、彼はもう一度、静かに沙也を呼んだ。

「伊月 沙也さんですね」

「……はい」

 名前を呼ばれたことをやっと認識した沙也だったが、不審な気持ちはもっと高まった。

 何故このひとが名前を知っているのだろう。

 知り合い?

 いや、こんなひとは知らない。

 それなら……?

 疑問符ばかりになってしまった沙也だったが、彼は懐からなにか取り出した。

 それをスッと沙也に差し出す。

 沙也は気圧されるように、受け取っていた。

 一枚の紙だ。

 戸惑いつつも視線を落として、沙也の心臓は一気に、どくん、と跳ねた。

「唐突に失礼いたしました。わたくし、香々見家使用人でございます」