幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 本当なら、親戚の家なのだから、沙也も行ったって良かった。

 洋斗を連れて行っても相応しくないどころか、きちんと顔見せをしたほうがいいくらいだ。

 でも今のところ、まだ親戚に紹介はしていない。

 そこにも秘密なのだ。

 だって、どこから話が洩れるかわからない。

 ずっと「実はシングルマザーになりました」ということを隠しおおせるとは思っていないけれど、とりあえず、もう少し待とうと先延ばしにしてしまっていた。

 親戚にも紹介できないくらい、秘密のことなのだと思うと心は痛むけれど、やはり大切なものを守るための手段なのだった。

「あっちへ降りてみようね」

 沙也はベビーカーをゆっくり押しながら、スロープになっているところへ向かっていった。

 洋斗に声をかける。

 洋斗は大人しくベビーカーに乗っていたけれど、すでに身を乗り出して、はやく、はやくと言いたげだった。

 道は一応コンクリート舗装されているけれど、石や海から流れてきたものなどが落ちている。

 うっかりタイヤで踏みつけてしまわないように、ぐらぐらしないようにと、沙也はしっかり道を見て、また、しっかりハンドルを掴んで押すことになる。