幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 多分、綺麗だからもっと近くで見てみたい、と言いたいのだろうなと思って、沙也は洋斗を抱き直した。

 かたわらに停めていたベビーカーを引き寄せ、そこへ洋斗を乗せる。

 海は広いし、しばらくここで過ごそうと思っていたから、ベビーカーを持ってきた。

 ずっと抱っこは自分も洋斗も疲れてしまう。

 それに初めて見る海に興奮したら、不意に飛び出して、危ないことにならないとも限らない。

 その予防もあった。

 このベビーカーは、父が車に乗せて運んできてくれた。

 そもそも、ここ、湘南の海なんて少し遠くまで沙也と洋斗を連れてきてくれたのは父なのだ。

 沙也が「洋斗にも海を一回、見せてあげたいな」と、ぽつっと言ったのをきっかけに、「じゃあ、ついでになるが、一緒に行くか?」と誘ってくれた。

 鎌倉の手前に、沙也たちの親戚の家がある。

 近々、そこへ行く予定があったそうだ。

 だから向かうついでに沙也と洋斗を一緒に乗せてくれて、そして「じゃあ夕方前には迎えに来るから」と海辺で落としてくれた。