幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「……あ」

 その日の夜。

 お風呂上がりにパジャマ姿でリビングに戻ってきた沙也は、部屋の長テーブルに懐かしいものを見つけて、つい声がこぼれてしまった。

 実家暮らしの沙也。大学も、現在の職場も家からそう離れていないので、特に実家を出るという選択はなかったのだが、今ばかりは一人暮らしだったら良かったのに、と思った。

 そうであれば、目にしたくないものが、こうしてテーブルに置いてあるなんてことはなかっただろうに。

「沙也、お風呂出たなら洗濯物を手伝って……あら」

 そこへ声がして、開いていたドアから母が顔を出した。沙也がお風呂から出たと見て、追いかけてきたらしい。

 それで沙也の視線がテーブルの上のものに向いていたと見て、言葉を切った。

「これ、……見てたの?」

 沙也は努力して笑みを浮かべた。自分によく似た顔立ちの母に視線を向けて、聞く。

 悟られるわけにはいかないのだ。このアルバムに一緒に写っているひとと、しばらく前に起こったことなんて。