「……あ」
その日の夜。
お風呂上がりにパジャマ姿でリビングに戻ってきた沙也は、部屋の長テーブルに懐かしいものを見つけて、つい声がこぼれてしまった。
実家暮らしの沙也。大学も、現在の職場も家からそう離れていないので、特に実家を出るという選択はなかったのだが、今ばかりは一人暮らしだったら良かったのに、と思った。
そうであれば、目にしたくないものが、こうしてテーブルに置いてあるなんてことはなかっただろうに。
「沙也、お風呂出たなら洗濯物を手伝って……あら」
そこへ声がして、開いていたドアから母が顔を出した。沙也がお風呂から出たと見て、追いかけてきたらしい。
それで沙也の視線がテーブルの上のものに向いていたと見て、言葉を切った。
「これ、……見てたの?」
沙也は努力して笑みを浮かべた。自分によく似た顔立ちの母に視線を向けて、聞く。
悟られるわけにはいかないのだ。このアルバムに一緒に写っているひとと、しばらく前に起こったことなんて。
その日の夜。
お風呂上がりにパジャマ姿でリビングに戻ってきた沙也は、部屋の長テーブルに懐かしいものを見つけて、つい声がこぼれてしまった。
実家暮らしの沙也。大学も、現在の職場も家からそう離れていないので、特に実家を出るという選択はなかったのだが、今ばかりは一人暮らしだったら良かったのに、と思った。
そうであれば、目にしたくないものが、こうしてテーブルに置いてあるなんてことはなかっただろうに。
「沙也、お風呂出たなら洗濯物を手伝って……あら」
そこへ声がして、開いていたドアから母が顔を出した。沙也がお風呂から出たと見て、追いかけてきたらしい。
それで沙也の視線がテーブルの上のものに向いていたと見て、言葉を切った。
「これ、……見てたの?」
沙也は努力して笑みを浮かべた。自分によく似た顔立ちの母に視線を向けて、聞く。
悟られるわけにはいかないのだ。このアルバムに一緒に写っているひとと、しばらく前に起こったことなんて。



