幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「わかった。じゃ、また声をかけてよ」

 不明瞭な会話は、それで終わった。

 沙也は申し訳なくなりつつも、それに甘えることにする。

「うん。ごめんね」

 それでも明依はそのまま隣に座ってきて、今度の週末に映画を見に行くんだ、なんて、なんでもない話をはじめた。

 沙也もそのままそれを聞いた。

 なんでもない話。

 なのに、なんだかとても、ほっとしてしまった。

 ここが日常。

 私の居場所。

 そう実感できたのだ。