一週間ほどあと、沙也はあることを決意した。

 今まで考えたことがなかったことだ。

 それは家を出ること。

 独り暮らしをしようと思った。

 本当はこのまま実家に居続けたほうがいいのだろう。

 お腹の子のためにも、落ち着かない体調になるだろう自分自身のためにも。

 でもなにしろ、この子のことは、公にできないのだ。

 いわゆるシークレットベビーという存在になるから。

 成長したらいつかは話すかもしれないけれど、少なくとも子どものうちは、本人にも話すつもりはない。

 それであれば、清登と繋がりがある場所に住み続けるのは不安だった。

 清登が不意に訪ねてくることがないとはいえないし、そのときバッタリ子どもと顔を合わせてしまうかもしれない。

 そんな事態になるわけにはいかなかった。

 だからなるべく物理的な距離を作れたら。

 そう考えたのだ。