幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 ……ごめんね。

 内心で、母に謝った。

 ただ、それは妊娠したことに対する謝罪ではない。

 妊娠したことに、確かにある種の後悔はある。

 あのとき、避妊はしたものの、避妊具は100%効果があるものではない。

 その低い確率に当たってしまったのだろう。

 軽率だったなんて思わないけれど、理想的でなかったことは確かだから。

 だけど、お腹に命を授かったことの後悔はない。

 愛の証だ。

 公表できなくたっていい。

 偶然ではあるが、お腹にやってきてくれた命。

 放り出す気持ちなんて、まったくなかった。

 きっとこれも、なにかの運命で、神様が授けてくれたもの。

 それなら受け入れたい。

 そう思うから、後悔なんてしない。

 沙也が先ほどの話と、この決意を反すうしているうちに、いつの間にか思考は霞んできた。

 話をした緊張からの疲れだろう。

 少しだけ、と目を閉じると、すぐにうとうとしはじめてしまう。

 夢を見た自覚はなかった。

 だが、もしかすると、沙也はまたあの夢の中で、優しいぬくもりの卵を抱えていたのかもしれなかった。