幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 沙也の気持ちはこれだけではわからなかっただろう。

 十日間の恋人契約のこと。

 そこまで説明しなければ、きっと腑に落ちるまでに至らないはず。

 しかし、沙也がそれを説明することはなかった。

 母は手を持ち上げた。

 額に当てる。

 その手で頭を支えるように、僅かにうなだれた。

「……少し、考えさせて……」

 言われたのは、猶予を求める言葉だった。

 沙也は一瞬、悩んだ。

 この場で全部聞いてほしかった気持ちで、持ちかけたからだ。

 でも母の気持ちもわかる。

 一人娘が、急な妊娠をしたと告白してきたことだけではなく、相手が相手だ。

 大企業の御曹司だ。

 公表できない妊娠であることを、すぐに受け入れられるものか。