幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 聞かれて当然とわかっていた沙也は、ごくっと喉を鳴らす。

 本当のことを言おうと思っていた。

 でもひとに洩れたら困ることだ。

 母を信頼していないわけではないけれど、万一ということもある。

「絶対、よそに言わないって約束してくれる?」

 震えそうな声を抑えつけながら、沙也は聞いた。

 母はためらったようだった。

 出てきた言葉は肯定ではないもの。

「ひとに言えないような相手なの? そんな相手なら」

 疑われたと知って、沙也の胸は冷える。

 さらに、続けられそうになった言葉もわかって、耐え切れずに遮っていた。

 そんなこと、ただの勘ぐりだとしても聞きたくない。

 だから遮り、言いつのった。

「違うの。……ただ、公表したら、相手に迷惑を掛けちゃう、から」

 沙也の言葉が真摯で、本当のことなのだとやはり伝わったようだ。

 母は再び黙る。