幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 リビングの椅子に落ち着いて、向かい合って座った。

 そこで沙也が淡々と説明したことと、テーブルにそっと出した母子手帳。

 母はもちろん、言葉を失ったという表情になった。

 当たり前だ、交際相手がいる話もしなければ、清登との十日間だって、親には話していなかったのだ。

 どうして急に妊娠なんて事態になるのか、混乱するに決まっている。

 その点は本当にすまなかった、と思いつつも、沙也は気持ちを変えるつもりはなかった。

 理解が得られなければ、家を出てでも遂行するくらいの気持ちだった。

 でも説明はちゃんとしようとも決めていた。

 まだ実家に住まわせてもらっている以上、娘としての義務だ、それは。

「……驚かせてごめん。でも、決めたの」

 一通りの説明を終えて、沙也は言った。

 きっと沙也の決意が固いことは、伝わっただろう。

 母はしばらく黙っていたけれど、やがて、疑問に思って当然であろうことを聞いてきた。

「……お父さんは、誰なの」