その後救急車に運ばれた私は、数日入院することになった。
体が凍えてかなり衰弱してしまったけれど、懸命な治療のお陰で今は回復しつつある。

祐巳姉さんは逮捕された。
誘拐、監禁、そして調べが進めば殺人未遂の容疑で。
私を誘拐したハットの男も逮捕された。
この人は祐巳姉さんにお金で雇われたみたい。

その報告を受けた時、祐巳姉さんは私が死んでもいいと思っていたんだなと改めて思った。

悲しいという感情は沸いてこなかった。

ただただ、祐巳姉さんは憐れな人だと思った。


祐巳姉さん、あなたには大切にしてくれる両親も、立派なお家も何もかもあるのよ。
社長令嬢の肩書きなんてなくても、会社がなくなるよりかはマシじゃない。

祐巳姉さんを愛してくれる人にだって、この先出会えたかもしれないのに。

私なんかに固執して、犯罪者に身を落とすなんて…可哀想だわ。


これで私は、本当の意味で蛇塚の家と縁を切ることになった。
こんな風に絶縁するとは思っていなかったから、正直後味が悪い。

これからは私のことなんて忘れて、真っ当に生きて欲しい――。