「み、皇子様?」

 と、つられて女子達も私に近寄ってくる。

「どうかこの私を、ジジョにしてくださいまし」

 喋り方も、この時代に寄せてみた。まあ、私の勝手なイメージだけど。

「……な、何という」

 絶句する女子。
 正直、私も自分自身に絶句している。

「わざわざ、月から来てくれたのだな~」

「はい」

 と、呑気な皇子を除いて。

(つゆ)。この兎に、馳走を振る舞ってやれ」

「か、かしこまりました」

 露と呼ばれたその人は、他の女子達を引き連れて消えていった。

「これで、一安心だな」

 突然、普通のテンポで話し出す皇子はしっかりと目も定まっている。

「……何が、安心しろよ。後から何を言われることか」

「それはない。私の申すことは必ずだ。背くものなどおらぬ」

 その瞳が、真っ直ぐ私を見つめる。

 そりゃあ、皇子だし?
 偉い人なのはわかるけれど、兎の化身ってありなの?信じるもの?