狼の目に涙


「今から俺が言うこと、絶対守れよ」

『何するの。逃げるの?』

「うん、逃げる。とにかく逃げる。三浪は、走り続けろ。俺は来たやつらを倒すから」

『走りは自信ない…』

「大丈夫。俺がついてる」

『怪我、しないでね』



佐々原くんが笑顔を一瞬見せて、私の頭をくしゃっと撫でると、空気がピリついたのが分かった。


私も逃げ切らなきゃ。




佐々原くんの笑顔、私の頭に置かれた大きな手。


呑気に、佐々原くんの優しさに浸っている場合じゃない。




ゆっくり歩き出すと、どこから出てきたのか。
四人の男の人が、四方から近づいてくるのが分かった。