狼の目に涙

家とバイト先は近いはずなのに、こういう時に遠く感じるのは、意地悪。

運動神経が悪いことに重ねて、今日に限って足元はサンダル。
何度も転けそうになりながら、過呼吸に近い状態で家に着いた。


「あ、おかえり」

『おかえりじゃ…ないでしょ!私が…帰って……来なかったら…どうする、つもり!?』

「めっちゃ息切れてるじゃん。とりあえず家入って息整えたら?」


誰のせいで息を切らしているのかと、怒鳴りたかったけど、怒鳴る分の空気が吸えなくて、仕方なく鍵を開けて家に入る。