狼の目に涙

毎日部活もせずに早く帰るのは、優等生ではなく人と距離を置きたいから。

人と距離を置くことで、自分を保てる気がするから。


また静かな時間が流れ始めると、私の視線も自然と外に行く。

さっきまでこの空気にソワソワさせられていたけど、運転手さんの終点アナウンスを聞いて、身構えた。

もうすぐ降りるんだ。佐々原雅の家に着く。

「ご乗車ありがとうございました。終点でございます。お忘れ物がないよう…」

「降りるぞ」
『あ、うん。おばあさんに先に行ってもらおう?』