狼の目に涙

望んで一人でいるのに、友達がいることを前提として話が進むと、胸がズキっと痛む。
私に向ける軽蔑の視線はもっと痛む。

「友達いないの!?じゃあ僕が、友達第一号にならせてよ!」

前田くんは変わってる。多分ではなく確実に。

『軽蔑しないの?こんなに沢山人がいるのに友達がいないんだよ?』
「友達がいないといけない理由なんてある?それに僕、三浪さんに興味あるからさ」

私も十分変人だと自覚しているけど、ここで友達になるのを拒否するほど馬鹿じゃない。

ありがとうと言うのと同時に鳴ったチャイムの大音量に私の声は負けて、前田くんは私の返事を聞かずに左に向けていた体を前に向けた。