狼の目に涙






「逆になっちゃったな。俺がこうなる前、三浪に同じこと言った」






そうだっけ?と、半年前の会話を思い返していると、佐々原くんが近づいて私と唇が軽く重なった。



言葉より行動で伝えるのは、私も佐々原くんも同じみたい。




一瞬触れただけで、名残惜しさもなく離れていく佐々原くんを目で追うと、その頬には一筋の涙が見えた。






目が合えば殺されると、学校中で噂になっていたヤンキー。


その切れ長の目は、狼が獲物を仕留めるために先天的に備わっている、観察眼のように鋭い。




そして、そんな狼の涙は、貴重で美しい。