狼の目に涙

「三浪さん、怖かったでしょ。一人でよく頑張ったね」

『もう一人になりたくないから…。佐々原くんにまで捨てられたくない』

「誰も三浪さんのこと、捨てたりしないから。僕もいる」

『うん…ありがとう、前田くん』







再び静かになった廊下に足音だけが響く。



このまま、佐々原くんが帰って来なかったら。







そう考えたら、母親に捨てられた日のことを思い出した。