狼の目に涙

手は繋いだまま、お互いに会話を交わすことなく三十分。



波の音を聞きながら、五回に一回足先に懐いてくる水しぶきを受け入れて、二人で黄昏ていると突然、
佐々原くんの突拍子もない提案が耳に入った。








「…昨日できなかったから、今しとく?ベストシチュエーションだろ」

『…何を?』







唇を尖らせて、私の反応を楽しむ佐々原くん。


まさかそんな提案が来るとは思わず、焦って手を離そうとする私を引き寄せて、寸止めで同じことを聞いた。







「三浪が嫌じゃないなら…する?しない?」

『…目閉じとく』