しばらくして、グツグツしてきたポトフと佐々原雅のために作ったお粥の火を消し、それぞれ深い大皿とお茶碗に盛り付けて、
いつも食べているダイニングテーブルではなく、テレビの前にあるフローリングに座って丁度良い高さのローテーブルで、一人小さく手を合わせた。
ヤンキーが私の家で寝込んでいるという非日常の光景にお腹が空くわけもなく、ご飯を口にしたのは夜中に空腹で目が覚めないための予防策。
それでも温かいものを体に入れると、心もつられて温かくなるわけで、溜め息に近い深呼吸をすると疲れから来ていた筋肉の緊張がほんの少し解けた。
「何食ってんの?」
『っ!』
食事も終盤に差し掛かった頃、背後から突然聞こえた問いかけに、声にならない声をあげて振り返ると、私が買ってきたスウェットを着た佐々原雅が、おまけに寝癖をつけて立っていた。



