狼の目に涙

肩の傷を無視して、強い力で抱きしめてくれたのは戸惑ったけど、
それを上回る喜びを感じたのは、知らなかった母親の温もり。



この温もりで、傷が癒えてしまいそうなほど。







母親に愛情をかけてもらえなかった分、人の温もりに触れると心が熱くなる。

でもまだどこかで、いつか捨てられると思っている私も居て、この心の距離は自分からは詰められない。






「母ちゃん、三浪をそろそろ離してやれ。部屋で傷の手当てする」

「あ、ごめんね。つい娘のように…。救急箱あるから、持っていって」