狼の目に涙

そのまま倒れていくのを、反射的に佐々原雅の前から全身で受け止めた。
でも私より体の大きい男の人を受け止められるわけもなく、共倒れ。

『息…できない』
「………」
『…苦しい、んだけ、ど』

至近距離で仰向けになっている私の真横に、佐々原雅の顔が。しかも汗だく。
私の上に覆い被さっているのを体を左右に捻って何とか抜け出すと、佐々原雅の体勢をうつ伏せから仰向けに変える。

私より遥かに重たい体を引きずりながらようやく布団に戻すと、息が切れて私まで汗だくになった。

『無理やり帰ろうとするから、こうなるんですよ?』
「…自分の家に帰ればゆっくり休めるだろ」
『そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!?今日はこの布団使って良いですから、ここで体休めてください。あと家の人には連絡しておいてくださいね?』