「雅人くん…声低くない?」

「声変わりしたんだ」

声変わり…男子なら誰でも訪れる成長期の一種

と、お父さんは昔言っていた気がする

今、私はどこにいるのかと言うと雅人くん家


「それより、一花。さっきから課題進んでねーけど」

暑すぎてやる気出ないんだもん

クーラーと扇風機活用してるくせに

「一花、今すぐ手を動かさないと頬つねる」

そう言われたらシャーペンを握る他なくて

「一花のやる気を出させる魔法の言葉…つってな」

雅人くんはずるい

数学は雅人くんに教わりながら進めてる

数学の課題が終わる頃には正午になってた

「はぁあ〜、何とかできた」

「あってんじゃん。すごいすごい」

もう私の頭はパンク寸前だ

運動神経だけはいいと散々親にも姉にも言われたくらい

私も頭脳明晰だったら良かったのに

そしたらお姉ちゃんと同じ高校を選べたかもなのに