「あ、雅斗。おはよう。制服似合ってるわよ」


父さんも母さんも兄ちゃんも俺の声のことは諦めている訳では無い


ありとあらゆる技を使って俺の声を取り戻そうと頑張ってくれている


俺は伝えたい時があったらメモ帳を使って母さんたちに見せる


小学校の時は友達にバカにされたりしたがもうすっかり慣れた


でも俺の声が出ないことに気がついたクラスのやつらが俺の失声症(しっせいしょう)をからかっていじめてきたりした


その日からさらに声が出なくなった


俺は食べ終えると、真新しいカバンを持って家を出る


俺が喋られない代わりに母さんは玄関まで来て必ず言ってくれることがある