甘い体温


陽生に強引に手を引かれた私は、周りの女子の痛い視線を容赦なく浴びながら、車に乗り込んだ


ていうか、強引に乗せられた


車にたどり着く途中、一部の女が陽生に声をかけてきたりしたけど


陽生は完全無視


私を助手席に押し込めると、自分も車に乗り込み、素早く車のエンジンをかけた





『あのさ…あんたって二重人格?』


私はハンドルを握る陽生の顔をチラッと見るるなり、ボソッと呟いた


『は?』


そんな私の問いかけに、陽生は不思議そうな声を向け


『なんだよ急に…』


『いや…別に…何となく』


まださっきの陽生の姿が頭に焼き付いていて、妙に変な気分だった


『二重人格なの?俺?』


そんな私に陽生は茶化すような口ぶり


『だって…いいの?あんな態度とって?』


『態度って?』


『仮にもあんた医者でしょ?この当たりじゃ結構顔知られてるみたいだし
いつもみたいに愛想よく笑顔振りまいてたほうがいいんじゃないの?』


患者としてくる子達も多いはず


それなのに…



『はは、なんだよそれ?医者だからって誰でも構わず愛想振りまいてどうすんだよ…
そんなことしてもしょうがないだろ』


そう言うと何故かフッと笑いだす陽生


『そりゃあまぁ…そうだけどさ…』



でもさ、あれはちょっと極端すぎないか?