甘い体温


えっ?


『悪いけど、知らない奴に軽々しく自分の番号教える趣味ないから、俺』


陽生はそっけなくその女に告げると、掴まれていた女の手を振りほどいた


『え、ちょっと…』


突然手を振り払われた女は、そんな陽生に目を丸くしている様子


ちょうどその時、角度が変わり陽生の顔が良く見えるようになり


その瞬間見えた陽生の表情に、少し違和感を覚えた


ぱっと見いつものように笑っているようには見える


見えるんだけど、でも…


なんだろう


確かに口は笑ってるんだけど…


でも、目は全然笑ってない


むしろその瞳は冷たく、さめたもので


女に対する態度もいつもの陽生を感じられないほど、冷ややかで、そっけないものだった


いつもの穏やかで爽やかなイメージなんかは全くって言っていいほどない



……陽生?



そんな光景に思わず目を奪われる


こんな陽生を見たのは初めてで


なんか全然知らない人を見てるみたいで、妙に寂しさを覚えるほど


あまりのことに私は陽生を見つめたまま、目がそらせなくなってしまった





『果歩?』


急に投げ掛けられた低い声


不意に名前を呼ばれた私は、その瞬間はっと我に返る


『あ…』


いつの間にか私に気付いた陽生と視線がバッチリ交じり合った