キミと放送室。





お昼休み、放送室。



放送機材の足元にあるCDをしゃがんで物色する。


いつものように開いた窓から気持ちの良い風が入る。



左から順番に人差し指で辿っていくと、「まだ?」と名波先輩が後ろから私を抱きしめるようにして急かした。


「わっ…名波先輩、邪魔しないでください」


「じゃあ早く。コレでいいじゃん」


と、先輩が適当に1枚取ったので、まあいいかとそのCDをセットした。


再生ボタンを押してボリュームを5まで上げる。


名波先輩はいつの間にか定位置のソファに座っていたので私も隣にちょこんと座った。


「つーか、あの爽やかくんのCDは?」

嫌味な言い方だけど、たぶん有島くんのことを言っているんだろう。

「あ、なんか友達に貸すからって…」


「へぇ。じゃあメダカは最後まで気付かなかった訳ね」


名波先輩がギターを手に取って意味深なことを言った。


「え?何がですか?」


「ラブレターじゃん。あんなの」


何のコードなのかは分からないけれど、綺麗な和音が鳴る。

「えっ?」

「歌詞もそういう曲ばっかりだったし、曲名の頭文字あいうえお作文になってた」

「そ、そうだったんですか?気付かなかった…」

「俺はすぐ分かった」

「教えてくれても…」

「やだよ。敵に塩を送るみたいで」

敵って…。

「名波先輩…いつから私のこと好きだったんですか?」