朝の渡り廊下は、少し水たまりが出来ていた。
「有島くん…あの、告白のこと」
私が切り出すと、
「わかってたよ」
と、すぐに返ってきた。
「え…」
「あの時、ファミレスで。あぁ、名波さんには多分勝てないなって」
「でも、日高さん泣いてたし。弱ってるところにつけ込んだんだけど」
「ダメだったか」
そう言って切なく笑った有島くん。
憧れだった。
隣の席になって、会話するだけで嬉しかったけれど
それは恋心ではなかった。
「好きになってくれて、ありがとう」
有島くんは「うん。ちゃんと返事くれて、ありがとう」と、言った。
「あ…。あのCD、友達に貸すことになったんだ」
気まずそうに言う有島くん。
「そうなの?」
「そう。だから、お昼休みのBGMの話はもう終わりでいいよ!ゴメンな」
そして、大袈裟に両手を顔の前でパチンと合わせた。
「わかった、じゃああとで返すね」
「おー。よろしく」
そう言って手を上げて教室へ戻っていく有島くんの後ろ姿を私は見送った。



