ジ「いやいやいやいや、ないわー」

エ「ダサッ」

マ「ちょっと本当に意味がわからない」

3人が、いかにも不快だと言う表情で、否定の言葉を口にする。戸惑うクリスティーヌ。だが3人は止まらない。

マ「あなた、何考えてるの?馬鹿なの?」

ジ「て言うか、その格好、マジで恥ずかしくないの?」

エ「しかもその話し方、本当中途半端、ニャロメ様にも失礼だわ」

次々と暴言を吐かれ、クリスティーヌのHPは早くも枯渇寸前。領地で真綿に包まれて成長した彼女は、オタク女子達の口撃に耐える術を持ち合わせてはいなかった。

マ「ちょっと、聞いてるの?悪役令嬢=ニャロメ様って、安直過ぎるわよ、あなた異世界舐めてるの?」

ジ「そもそも、ニャロメ様は見た目が悪役令嬢ってだけで、中身はただの面白キャラだし」

エ「ふふっ、確かに、完全に面白キャラに仕上がってるわね。ある意味ニャロメ様化には成功してると言えるわ」

クリスティーヌは混乱していた。

(にゃ、にゃろめ?にゃろめ様って何の事かしら?悪役令嬢って何?おもしろきゃら?異世界って、、)

ジ「クリスティーヌ様~?」

口をパクパクさせながら呆然と立ち尽くすクリスティーヌにジゼルが近寄り、顔の前で手を振りながら声を掛ける。

様子がおかしいクリスティーヌを不審に思ったマルゲリットが、声を落として質問する。

マ「あなた、、転生者なのよね?」

(転生者、、?)

マ「嘘でしょ?この子、空なの?じゃあなんでこんなにもニャロメ様なの?」

ジ「え?マジで?転生者じゃなかったら、今の会話聞かれたの、超絶ヤバない?」

エ「ジゼル様、落ち着いて。ガバガバ設定だから、きっと大丈夫よ」

エメリーヌの言う事は正しい。実際、クリスティーヌにとって初めてのお茶会なのにも関わらず、周囲に大人の影はない。紛れもなく、ガバガバ設定なのである。

「お嬢様、お茶の準備が整いましたので、あちらのテラスに参りましょう」

侍女がクリスティーヌ達を呼びに来た事で、この何とも言い難く気まずい空気は一旦解消された。

しかしながら、クリスティーヌの心中は穏やかではない。

(この子達の意味不明な話はひとまず置いておくとして、、もしかして、、わたくし、、ダサいの!?この姿、、そんなに恥ずかしいの!?)

これまでクロエに言われるまま身なりを整えていたクリスティーヌは、自らのダサさに全く気付いていなかった。彼女には2人も姉がいるのだ。ちょっと周りを見渡せば、当然気付くはずなのに。これも全て、ガバガバ設定の為せる業である。