その3
麻衣



火の玉川原についたのは7時10分過ぎだった

でだ…

いた!

カモシカと浅黒の汗くさコンビが…

で…、今のところ南玉は他に見当たらないな


...


私はとりあえず、奴らは無視して土手下に降りた

おお、さっそく真樹子さんが駆けてきたわ

「麻衣さん!お疲れさま。ああ、まずそっちを聞きたいわ。どうだったかしら?」

「狂犬の”骨”はいただきました。私が…」

「じゃあ、久美と静美はダメだったか…」

「まあ、あんなところでしょ。あの二人、もうすぐしょぼくれた顔してここに来ますんで、フォローお願いしますよ」

「ええ、承知したわ。…ああ、それでね…」

真樹子さんからは、墨東会の立会人との折衝状況の説明をしてもらったわ


...


ふふ‥

まあ、今日墨東会には相和会を仕向けたんだし、風あたりは強いよね

さすがの真樹子さんも、突っぱねられなかったみたいだ(苦笑)

まあいいって…

どうせ、概ねの展開は見えてるんだ…

私の今日戦う相手は、もう決まったようなもんだしさ

しかし、南玉本隊がどう出てくるかは、また違った意味で楽しみね

今頃、木戸ちゃんを中心に喧々諤々で大揉めでしょう(笑)


...


さあ、火の玉にはこっちサイドが続々と集結してるわよ

「よー!祥子、遅かったじゃん」

「お前のそのニヤケ面、寒気がするわ。で…、やったのか?」

「ああ、金属バットで一発だった。狂犬はちゃんと人間の病院連れてったから、安心しな」

「全く…、完璧イカレてるわ。そんで、静美と久美はどうした?」

「もうすぐかな。一緒に手でも繋いで来るんじゃねえか?」

祥子は苦笑しながら呆れているようだった…