麻衣ロード、そのイカレた軌跡❺/二つの情念、炎上す

その17
麻衣



「麻衣…、はい、これ。…あのう、あの人、急いでるって言うから帰ってもらったけど、よかったかな?」

「うん。”これ”受け取れば別にいいさ。でも、他に何か言ってなかったか、彼?受取るだけにしてはさ、やけに長かったような…。ああ、気のせいか、ハハハ…」

「はは…、そうだよ。へへ…」

真樹子さんはそんな久美と私の何気ないやり取りを、注意深く見てる

ひょっとして、気が付いてんのかな、真樹子さん…


...


「ところで、その手紙…。ああ、報告書か。なんか気になるわね。見せてもらえる訳にはいかないの?」

「いや、全然いいですよ。これは、例の憎っくきカモシカの今日の行動報告ですから。最新での…。ちょっと待ってね。先に目を通しちゃうから」

「えっ、横田競子の…?」


「うん…。なになに?…ほう、これで”この後”がだいたい見通せるわ。真樹子さん、まあ、読んでみて。ああ、久美、これから付きあえるか?」

「うん、大丈夫。でも、どこへ?」

「あとで言う。ただ、バイク1台で行くぞ。終わったら、またここへ戻ってくるから。お前は後ろに乗っける」

「うん、わかった…」


...



「…じゃあ、リエ、私たちもそろそろ引き上げるか?」

「そうね。豹子、今日はじっくり話が聞けて良かったわ。それに股の下10センチ、アレ最高だったし。今度は”その先”も期待してるわ…」

「このドスケベめ!次はそっちが晒せっての!はは‥」

「いいわよ、コト成就の折には、ドーンとね。アハハハ…」

言ったな、リエ、忘れないからな…(笑)

「真樹子さんも、お疲れさま。明後日電話するよ。まあ、急ぎがあったらいつでも連絡頼ちょうだい」

「了解よ、麻衣さん。じゃあ、またね…。久美、次は土曜日よ。待ってるわ」

「はい!お疲れ様でしたー!」


...



さあ、久美と二人きりになったぞ

今日は、ここで一発カマかけてやるつもりなんだが…

今後のこともあるしな

で…、久美に言葉をかけようと思ってたら、ヤツの方から話かけてきたわ…

「…麻衣、実は折り入って聞いてもらいたいことがあるんだけど…」

久美のヤツ、なんか神妙な顔つきしやがってる

ひょっとして、こっちが”探り”入れたいこと、”自白”とかってか?

「…私の”ここ”にも、双子、いや三つ子になるのかな?”当てて”欲しんだ…」

「???」

いきなりスカートまくってるよ、コイツ…

おい、久美、お前まさか…!