「は、遥……」


俺ら蒼龍(そうりゅう)の総長、井上(いのうえ)(はるか)に話しかける。

彩奈ちゃんから、「古葉ちゃんが男を使って襲ってきた」という話を聞いてから、心此処にあらずと言う雰囲気で、心配せずにはいられなかった。


「んだよ…」

「大丈夫…?」


「…大丈夫に、見えるか?」


覇気のない乾いた笑顔でこっちを見てくる。

遥はいつだって自信にあふれていて、強くて、美しくて




…こんなに、亡霊のような遥を見たくなかった。





「ねぇ…ッ、俺は、古葉ちゃんが…」

「古葉の名前出すな」

「あ…ごめん……、」



ねぇ、遥。

気づいてないの?

俺が彩奈ちゃんに懐いてないこと。
彩奈ちゃんを信じていないこと。