「えへへ、やった!梓ちゃんに抱きしめられてる〜」

またもや聞こえてきた今度は強めのバコンッという音。

今回は私じゃなくて結くんの頭から聞こえる。

何事かと思い結くんの胸に埋めていた顔を上げると後頭部を押さえて涙目になっている結くんがキッと私の後ろの男を睨みつけていた。

「…善、?教科書の角で人の頭殴るの結構痛いからやめたげて?」

意外なことに教科書を手にしていたのは善だった。

またもや涼くんかと思ってたのに。

善がそんなことする子だったなんて…。

しかも涼くんは1番薄い家庭科の教科書で軽くはたくくらいだったのに。

善は1番分厚い古文の教科書で思いっきり。

いつから人の道逸れちゃったの。

帰ったらままさんにチクッちゃうからね。