確かにセドリックの方が歳は二歳ほど上で、早熟だろうと予想はしていた。
だが『結婚まで清いまま』を保つと教えられたノエルは、大いに焦った。
「自分は王位継承者だ、王太子に許されないものはない」
と尊大に言い張り押し倒してくるセドリックを、ノエルは男の急所を蹴って難を逃れる。
ちょうどその日に「娘が見つかった」と、侯爵が連れてきたのがミリアンだったのだ。
「正直、もう少し時間はあると思っていたのに、あのエロキチが迫ってきてもう、隠せないと思っていたときにミリアンが来てくれて助かったよ」
「でも、私があまりに躾がなっていなくて、すぐに交代というわけにはいかなかったのよね……ごめんなさい」
「いや、いいんだよ。習うことは年齢も身分も関係ないから、ミリアンが覚えようとすればすぐとはいかないけれど、できるはずだもの。たった三年でとてもよくなったよ」
「そういってもらえると嬉しい」
ノエルはミリアンの肩を抱く。ノエルは女性の姿をしているが二人が寄り添う姿は恋人同士のそれだった。
「……ただ、その後の侯爵の考えが誤算だった。まさか、『アドリーヌとして続けろ』というなんて」
理由は、まだミリアンが貴族の嗜みを身につけていないからと言われたが、納得できない。
ノエルは我慢して続けた三年間を振り返り、背中に悪寒が走った。
まだ男か女か区別のつかない体つきの頃はいい。服や手袋でごまかすことができた。
しかし、もう成長期に入ったノエルの体では今までのようにはいかない。
こちらがさりげなく二人きりになることを避けたり、体を寄せないことを心がけたりしてもセドリックはベタベタしたいらしく、体に触れてくる。
我慢できず押し倒されそうになったことも、数回あった。
だが『結婚まで清いまま』を保つと教えられたノエルは、大いに焦った。
「自分は王位継承者だ、王太子に許されないものはない」
と尊大に言い張り押し倒してくるセドリックを、ノエルは男の急所を蹴って難を逃れる。
ちょうどその日に「娘が見つかった」と、侯爵が連れてきたのがミリアンだったのだ。
「正直、もう少し時間はあると思っていたのに、あのエロキチが迫ってきてもう、隠せないと思っていたときにミリアンが来てくれて助かったよ」
「でも、私があまりに躾がなっていなくて、すぐに交代というわけにはいかなかったのよね……ごめんなさい」
「いや、いいんだよ。習うことは年齢も身分も関係ないから、ミリアンが覚えようとすればすぐとはいかないけれど、できるはずだもの。たった三年でとてもよくなったよ」
「そういってもらえると嬉しい」
ノエルはミリアンの肩を抱く。ノエルは女性の姿をしているが二人が寄り添う姿は恋人同士のそれだった。
「……ただ、その後の侯爵の考えが誤算だった。まさか、『アドリーヌとして続けろ』というなんて」
理由は、まだミリアンが貴族の嗜みを身につけていないからと言われたが、納得できない。
ノエルは我慢して続けた三年間を振り返り、背中に悪寒が走った。
まだ男か女か区別のつかない体つきの頃はいい。服や手袋でごまかすことができた。
しかし、もう成長期に入ったノエルの体では今までのようにはいかない。
こちらがさりげなく二人きりになることを避けたり、体を寄せないことを心がけたりしてもセドリックはベタベタしたいらしく、体に触れてくる。
我慢できず押し倒されそうになったことも、数回あった。


