始まりはいつも唐突で、そして終わりもいつも唐突だった。


だけど、私がそれを理解するにはあまりにも時間が掛かってしまう。



「……何これ?」


「ポストに入ってたよ」


その日、いつものように学校が終わって家に帰ると、リビングのテーブルの上に私宛の手紙が置いてあった。


「?…招待状?」


「何の?」


「さあ?」


封筒の表には招待状としか書いてなくて、誰宛の住所とかも一切書かれていなかった。


「あとで見るよ」


「そう」


その時は特に気にしないで自分の部屋に持っていって、とりあえず机の上に無造作に置いたままにしていた。


「まあ、いいか」


「ゆいー」


「あ、はーい」



私は來海麻 唯架〈くるみあ ゆいか〉、16歳。


「ゆい、またケガしたの?」


「あーうん」


晩御飯の最中にお母さんに手のひらのケガに対して指摘された。


「今日、体育の時に躓いて転んじゃって」


「もう、気をつけてよね」


「本当、唯はそそかっしいよね」


昔から私はそそかっしくて危なっかしいっと言われていて、いわゆる不幸体質なんだとか。


何でもない所で転ぶのは日常茶飯事で、その度にケガばかりしていて、あまりにも転ぶからお母さんが心配して病院で診てもらった事もあったが、何一つ異常が見られなかった。


それよか健康すぎるとも言われた事があった。


子供なんだから健康なのは当たり前だと思うけど。


まあ、不健康や病気があるとか言われるよりはマシだろうけど。


確かに不幸体質だけど、なぜか今まで風邪をひいた事が一度もなくて、唯一ある事があるとしたら死にかけた事があるぐらいだ。


まあ、これもいつもの不幸体質での事で、それが少々悪い方向に行ってしまっただけで、幸いにも命は助かってすぐに回復できたから良かったけど。


確かに不健体質でいつも不幸な事に見舞われるけど、なぜかいつも最悪な事にはならなくて回避される事が多い。


しょっちゅう転けていてケガばかりなのに、なぜか傷痕が全く残らず治るも早く健康で何一つ悪い所がない。


ただ転んでケガするとか以外は最悪な事が多いけど。


と言っても、狙われるとか犯罪行為みたいな事ではなく、物をなくすとか遅刻とか電車が遅れるとかほしいものが売り切れているとか、そういう些細な事が多いけど、だいたい1日一回は何かしら不幸体質に襲われている。


でも、家族では私だけが不幸体質で、むしろ私の姉の凛々羽〈りりは〉ちゃんは幸運体質で何をやっても上手く行く人である。


少しは分けてほしいくらいだ。