Flower~君の美しい記憶の中で今日も生きていたい~

今綺麗って言った……?徐々に理解が追いついて顔が紅潮する。おずおずと渡された串団子を受け取った。


会った時に言ってくれなかったから、てっきり興味がないのかと思っていた。勝手に不貞腐れた私はあむり、とお団子を食べる。


「詫びになるかはわからないが気に入ったものがあったら贈らせて欲しい」


「いいんですか?!ふふっ、嬉しい」


それから串団子と抹茶を飲み終えて私たちはまた店を回った。そこで気に入ったものが見つかって恭介さんに買ってもらった。


「花の種なんかで良かったのか?」


「だってこれとっても素敵でしょう」


城下町を離れて、私たちが出会った野原まで来ていた。袋から取り出した一粒の種をもう随分と傾いてしまった太陽にかざす。


色々な種類の花の種が入った袋を買ってもらった。何が咲くのかはわからない。


「この場所は恭介さんの領地ですか?」


「そうだが……」


「じゃあ怒られませんね!」


「はっ、あ、おい」


くるりと回りながら袋に入った大量の花の種をばら撒いた。太陽の光が反射して光る。呆れた表情を浮かべる彼に笑った。


「ふふふっ、ここに撒いた種がいつしか花開く。恭介さん、この場所をずっと守ってください。枯れそうなら水をやってください」


そうして今日この日、私が隣にいたことを忘れないで。様子のおかしい私の名前を呼ぶ声がした。