Flower~君の美しい記憶の中で今日も生きていたい~

真っ直ぐな彼の言葉にほんのりと顔に熱を帯びる。恭介さんの無自覚な飾り気のない一言は私を舞い上がらせた。


「……それじゃあ、また明日」


「はい、おやすみなさい」


恭介さんが部屋を去るのと入れ替わるように待機していた女中が笑顔で入ってくる。


「やりましたね!!明日は早起きしておめかししましょう!!」


「よ、よろしくね」


自分のことのように、いやそれ以上に喜んでくれる彼女に苦笑いをしながら言った。


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翌日。朝早くからお菊さんに起こされて、冷たい水で顔を洗う。朝ごはんを食べて、化粧と着替えをした。


なんでも、夜更けに恭介さんとのお出かけのことを知らされたお菊さんは居ても立ってもいられずに普段よりも上等な着物を用意してくれたのだとか。


「城下町には変な輩が最近多いと聞きます故、恭介様から離れないようにしてくださいね」


「そんなのですね、わかりました」


心配そうに眉を下げて言うお菊さんを安心させるように微笑んだ。門で待っていれば馬を引き連れた恭介さんが歩いてきた。


毛並みのいい黒馬が騎士のごとく隣を寄り添う。ほわ、と間抜けな声が出る。そばにいたお菊さんが私と遠くの恭介さんに一礼するとお屋敷へと戻っていった。